職場で「それは違う」と言えた日
会議の中で、「それは違うと思います」と言った。
小さな声で、少し迷いながら。でも言った。
言い終わった後、しばらく心臓がうるさかった。相手がどう反応するか、怖かった。でも相手は「どういうこと?」と聞いてくれた。説明した。「なるほど」と言ってもらえた。
帰り道、なんだかよかったな、と思った。
✦ ✦ ✦
「違う」と思っていた、ずっと
言えるようになる前は、ずっと言えなかった。
「それは違うんじゃないか」と思う場面は、何度もあった。でも口から出てこなかった。「私が間違っているのかもしれない」「波風を立てたくない」「この人の機嫌を損ねたくない」
——いくつかの理由が重なって、言葉を引っ込めていた。
引っ込めるたびに、小さな何かが積み重なった。「また言えなかった」という感覚が、少しずつ蓄積していった。
✦ ✦ ✦
「言わなかった」が続くとき
「違う」と思っても言わないことは、その場の平和を守る。
でも続けていると、別のことが起きる。
「私が何か言っても、どうせ変わらない」という無力感が育つ。
「私の意見は、言うほどのものじゃない」という感覚が育つ。
自分の感覚を外に出すことへの、根拠のない諦めが育つ。
それは自己肯定感とは逆の方向に積み重なる。
✦ ✦ ✦
小さな自己主張が、自己肯定感を作る
自己肯定感は、「自分はすごい」と思うことじゃない。
「私の感覚は、出していい」「私の意見は、存在していい」という感覚の積み重ねから、静かに生まれるものだ。
小さな自己主張が、その積み重ねになる。会議で「それは違うと思います」と言えた一回。飲み会で「私はこっちが好きです」と言えた一回。友人に「それはちょっと嫌だった」と言えた一回。
大きな主張じゃなくていい。ただ、「私はこう思う」が外に出た回数が、自己肯定感の地盤になっていく。
✦ ✦ ✦
今日、一つだけ言う
完璧なタイミングも、完璧な言い方も、必要ない。
今日、「違うかも」と思ったことを一つ、言ってみてほしい。職場じゃなくていい。友人でも、家族でも。「それよりこっちの方がいいと思う」「私はちょっと違う意見で」
——小さくていい。
言った後、心臓がうるさくなるかもしれない。それでいい。それが「私は言えた」という経験になる。
「それは違う」と言えた一回が、次の一回を少しだけ楽にする。
今日、一つだけ「私はこう思う」を外に出してみてほしい。その積み重ねが、あなたを作っていく。