私はこれでいい、と思えた瞬間のこと
ある日の夜、何もしていなかった。
特別なことは何もない一日だった。何かを達成したわけでも、誰かに褒められたわけでも、大きな変化があったわけでもない。ただの平日の夜で、ただぼんやりしていた。
そのとき、ふと思った。
「これでいいな」と。
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「これでいい」は、突然来た
「これでいい」という感覚は、何かのきっかけで来るものだと思っていた。
大きな成功の後とか、誰かに深く理解してもらえた瞬間とか、長い努力が実を結んだときとか。そういう「だから」があって初めて、「これでいい」と思えると思っていた。
でも実際には、何もない普通の夜に来た。
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「これでいい」と「これがいい」の違い
「これでいい」は、「これがいい」ではない。
「これがいい」は、積極的な肯定だ。今の自分が好きで、今の状態を選んでいる。
「これでいい」は、もっと静かな感覚だ。今の自分を変えようとしていない。否定もしていない。ただ、「これが今の私だ」と見ている。それで足りている、という感覚。
「これでいい」は、「これがいい」になる必要はない。「これでいい」のまま、十分だ。
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小さな積み重ねが、ここに来た
あの夜に「これでいい」と思えたのは、何もないところから突然来たわけじゃなかった。
振り返ると、小さなことが積み重なっていた。
褒められたとき、「でも」を飲み込んで「ありがとう」と言えた一回。
自分から誘えた一回。
疲れたと認めて休んだ一回。
「嫌だ」という感覚を、ちゃんと嫌だと思えた一回。
どれも小さかった。でもその積み重ねが、知らないうちに「これでいい」という地盤を作っていた。
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「これでいい」は、ここから始まっている
「これでいい」という感覚は、遠くにあるゴールじゃない。
今日の「でも」を一回飲み込むことから。
今日の疲れを「疲れた」と認めることから。
今日の好きを「好きだ」と思うことから。
そういう小さな選択が、毎日少しずつ積み重なって、ある日「これでいい」という感覚になって現れる。
その「ある日」は、何もない普通の夜かもしれない。特別な達成の後じゃないかもしれない。
「これでいい」は、探すものじゃなく、積み重ねた先に、静かにそこにあるものだ。
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今日も、一つだけ
今日も、一つだけ。
自分への小さな許可を出す。
自分の感覚を、一つ受け取る。
「でも」を一回飲み込む。
疲れたなら休む。
それだけでいい。
今日の一つが、やがて「これでいい」になる。
「これでいい」は、遠くにない。今日の小さな選択の、少し先にある。