不安なのに「大丈夫だよ」と返してしまう
「最近忙しくてなかなか会えなくてごめんね」
彼からのメッセージを読んで、胸がざわつく。本当に忙しいだけだろうか。私に会いたくないんじゃないだろうか。このまま自然消滅するんじゃないだろうか。
でも、返信に打ったのはこう。
「大丈夫だよ!無理しないでね」
大丈夫じゃない。
全然大丈夫じゃない。
でも「大丈夫じゃない」とは言えない。
言ったら面倒な女だと思われる。
相手に負担をかける。重くなる。
だから笑顔の絵文字をつけて、「大丈夫だよ」を送る。
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恋愛における「大丈夫だよ」は、二種類ある。
一つは、本当に大丈夫なときの「大丈夫だよ」。これは問題ない。
もう一つは、大丈夫じゃないのに言う「大丈夫だよ」。こちらが問題だ。
後者を言うとき、あなたの中ではこういう取引が成立している。自分の不安を差し出す代わりに、関係の安定を受け取る。不安を口にすれば関係が揺らぐかもしれない。だから不安を飲み込んで、平穏を維持する。
でもこの取引には、隠れたコストがある。
飲み込んだ不安は消えない。
胃の中に溜まっていく。
そして相手は、あなたが不安を抱えていることを知らない。
知らないから、同じことを繰り返す。
あなたは何度も同じ不安を飲み込み、何度も「大丈夫だよ」と言い、何度も一人で苦しむ。
相手は何も悪くない。だってあなたが「大丈夫」と言ったのだから。
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「大丈夫だよ」を繰り返す人には、一つの共通点がある。
自分の感情で相手に迷惑をかけてはいけない、と思っている。
不安を伝えることは迷惑だ。
寂しいと言うことは負担だ。
怒りを見せることは関係を壊す。
——そうやって自分の感情に「迷惑」というラベルを貼り続けてきた。
でも、感情は迷惑ではない。
不安を伝えることは、相手を信頼しているからこそできることだ。「私は今こう感じている」と伝えることは、関係を壊すのではなく、関係を深くする行為だ。
もちろん、伝え方は大切だ。責めるのではなく、自分の感覚として伝える。「あなたが悪い」ではなく「私は今、少し不安を感じている」。
その一言が、あなたの「大丈夫」の鎧を一枚脱ぐ練習になる。
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次に「大丈夫だよ」と打ちそうになったとき、送信する前に一度だけ立ち止まってほしい。
「これは本当の大丈夫だろうか」
もし違うなら、こう変えてみてほしい。「ちょっと寂しかったけど、連絡くれて嬉しい」。
たった一行。でもその一行には、あなたの本当の気持ちが入っている。
大丈夫じゃないときに「大丈夫じゃない」と言えること。それは弱さではなく、自分を大切にする力だ。