髪を乾かしてから寝ることにした
お風呂から上がって、タオルで髪を巻いて、そのままソファに座る。
スマホを見ているうちに30分が過ぎる。タオルを外すと、髪は半乾き。もうドライヤーをかける気力がない。このまま寝よう。
翌朝、爆発したような寝癖と格闘する。アイロンで直して、スプレーで固めて、なんとか形にする。毎朝10分余計にかかる。
夜の自分が10分サボったせいで、朝の自分が10分苦労している。この構造に気づいたのは、随分あとのことだった。
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髪を乾かさないで寝る理由は、面倒だから。それに尽きる。
でも「面倒」の中身を掘ると、もう一つの言葉が出てくる。
「そこまでしなくてもいい」
髪を乾かすのに必要な時間は、長さにもよるが5分から10分程度だ。その5分を、自分にかける価値がないと判断している。テレビを見る5分、スマホを触る5分は惜しくないのに、自分の髪に使う5分は「面倒」になる。
これは時間の問題ではなく、優先順位の問題だ。自分のケアが、他のすべてのあとに来ている。
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髪を乾かしてから寝るようにして、変わったことが二つある。
一つ目は、翌朝の自分が楽になったこと。寝癖がつきにくくなる。朝の支度時間が短くなる。髪のまとまりが良くなる。これは純粋に実用的な変化だ。
二つ目は、夜の時間に「自分のための時間」が一つ増えたこと。
ドライヤーをかけている5分間、やることは一つしかない。髪を乾かすことだけ。スマホは持てない。テレビも見にくい。ただ温かい風を浴びながら、ぼんやりする。
この5分間が、意外と心地いい。一日の終わりに、何も考えず、ただ自分の髪に風を当てている。それは、自分の身体を手入れしている時間であり、自分と静かに過ごしている時間でもある。
面倒だと思っていた5分が、一日で一番穏やかな5分になった。
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毎日完璧に乾かす必要はない。疲れ果てた夜は、タオルドライだけでもいい。
でも今夜、一つだけ試してみてほしい。
お風呂上がりに、ドライヤーを手に取る。いつもなら「面倒だな」と思うタイミングだ。でも今夜は、こう考えてみてほしい。
「この5分は、明日の自分へのプレゼントだ」
朝の自分が鏡を見て、「昨日の私、ちゃんと乾かしてくれたんだ」と思う。その小さな感謝が、自分と自分の間に信頼を生む。
——翌朝、まとまった髪を見て「今日の私、悪くない」と思えたら、それは昨夜の5分が作ってくれた気持ちだ。
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