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一冊を読み終えただけで、何かが変わった気がした

 一冊を読み終えただけで、何かが変わった気がした

本を最後まで読み切ったのは、何年ぶりだろうか。

本を買うことはあった。最初の数十ページは読んだ。でも、いつのまにか他のことに気を取られて、本棚の奥にしまわれて、そのまま忘れていた。途中まで読んだ本が、何冊も積まれていた。

今回も、たぶんそうなると思っていた。それでも、なんとなく続きが気になって、少しずつ読み進めた。気が向いたら開き、眠くなったら閉じる。半分まで来たとき、「ここまで来たなら、最後まで読もう」と思った。

そしてある夜、最後のページを閉じた。

特別な感慨はなかった。話の内容は、明日には半分忘れているかもしれない。それでも、本棚に「最後まで読んだ本」を一冊置いたとき、なぜか少しだけ、誇らしかった。

「私、ちゃんと、一つのことを最後までやれたんだな」。


「最後までやれない」が、自己評価を下げている

途中で挫折した本が、何冊もある。それは、本だけじゃない。

ダイエットも、宅トレも、英語の勉強も、習い始めた趣味も、買ったきり手をつけていない教材も。最後までやり切れなかったものが、あなたの周りに、いくつも転がっている。

そして、そのたびに、心の中で小さな声がする。「また、続かなかった」「やっぱり私はダメだ」。一つ一つは小さな失敗だ。でも、その積み重ねが、自己評価を、少しずつ削っている。

「私は、最後までやり切れない人間だ」。

無意識のうちに、その自己イメージが、自分の中に固まっていく。だから、新しいことを始めるとき、「どうせ続かない」と最初から思っている。始める前から、諦めの予感がある。

これを変えるのに、必要なのは大きな成功じゃない。小さな「最後までやり切った」を、一つだけ、積み上げることだ。

その最初の一歩として、本は、ちょうどいい。本は、明確に「終わり」がある。最後のページがあって、そこに到達すれば、確実に「やり切った」と言える。ダイエットや習慣のように、終わりが曖昧じゃない。だから、達成感が手に取れる。


「最後まで読んだ」が、自分への信頼を作る

一冊を読み切ったあと、何が変わるだろうか。

内容を全部覚えているわけじゃない。劇的に賢くなったわけでもない。生活は、ほとんど何も変わらない。

それでも、確かに何かが変わる。「私は、一つのことを最後までやれる人間だ」という、小さな自己認識が生まれる。

それは、過去の「続かなかった」記憶を、上書きする一票だ。一冊読み終えただけでは、過去の自己イメージは消えない。でも、二冊、三冊と積み重ねていくと、「最後まで読める自分」のほうが、徐々に強くなっていく。

そして、その自己認識は、本以外のところにも広がる。「あの本を最後まで読めたんだから、これも続けられるかもしれない」。一つの「やり切った」が、次の挑戦への小さな信頼を生む

これは、自分が自分に与える、いちばん地道で確かな信頼だ。誰かに褒められたから生まれるのではない。自分が、自分の行動を見て、信じ始める。

本を読み終えたとき、本棚に並べる一冊は、ただの本じゃない。「私はちゃんとやれる」という、自分への信頼の証だ。


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積まれたままの本があるなら。あるいは、読みたいと思って買ったまま放置されている本があるなら。

完璧に読もうとしなくていい。

一冊だけ選んで、「最後のページに到達する」ことだけを目標にしてみる。

内容を全部覚える必要はない。理解できないところは飛ばしていい。読むスピードも気にしなくていい。とにかく、最後のページまで、自分のペースで、たどり着く。

そして、読み終えた本を、本棚の見える場所に置いてみる。背表紙を眺めるたびに、自分に、こう言ってあげる。「これ、最後までやり切ったんだよ」。

その一冊は、たぶん、次の挑戦の土台になる。「一つやれたから、もう一つやってみよう」。小さな積み重ねが、続かない自分から、少しずつ卒業させてくれる。

最後のページに到達すること。それだけで十分、あなたは自分を信じていい理由を、一つ手に入れている。

PRIELLE編集部

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