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資格の勉強を始めたのは、転職のためじゃなかった

 資格の勉強を始めたのは、転職のためじゃなかった

資格の勉強は、何度か挫折してきた。

簿記、FP、TOEIC、Web系の資格。「これがあれば、キャリアの選択肢が広がる」「転職に有利」「将来のため」。動機は、いつも未来への不安だった。

最初の数週間は、頑張れた。でも、だんだん勉強が苦痛になってくる。「もしこれを取っても、転職しないかもしれない」「取った意味があるのか」。やる意味への疑問が、モチベーションを削っていく。テキストを開くのが、義務感だけになる。そしていつのまにか、テキストは机の隅に追いやられる。

今回、また資格の勉強を始めた。でも、動機が違った。

ただ、学んでいる自分が好きだから」。

転職する予定はない。キャリアに使う具体的な計画もない。ただ、毎日少しずつテキストを開いて、新しいことを知る時間が、なぜか楽しかった。

不思議なことに、今回は、続いている。


「キャリアのため」が、勉強を苦しくする

これまでの資格勉強が続かなかったのは、なぜだろうか。

「キャリアのため」「将来のため」という動機は、もっともらしい。大人なら、当然そう考えるべきだと思っている。でも、この動機には、隠れた問題がある。

それは、「いま勉強している時間」を、未来への手段にしてしまうこと。

キャリアのために勉強しているとき、勉強そのものは目的じゃない。資格を取って、転職して、年収を上げる——その未来が目的で、勉強はその準備でしかない。すると、勉強している時間は、楽しむ時間ではなく、「早く終わらせるべき時間」になる。

そして、未来は不確実だ。本当に転職するかわからない。資格を取っても役に立つかわからない。「もし無駄だったら」という不安が、いつもよぎる。未来の不確実さが、いまの努力の意味を、削り続ける

これが、続かなくなる大きな理由だ。いまの自分が、未来のために我慢している。その我慢が、いつか報われるかもわからない。そんな状況で、長く頑張れる人は、ほとんどいない。


「学んでいる自分が好き」の強さ

「学んでいる自分が好きだから学ぶ」という動機は、これとは全く違う。

未来の結果なんて、関係ない。いま、学んでいる時間そのものが、満足だ。テキストを開いて、新しい知識に触れる。理解できなかったことが、わかるようになる。その小さな喜びが、毎日積み重なっていく。

ここには、不確実さがない。資格が取れなくても、いま学んだ時間は、ちゃんと自分のものになっている。取れたら、ボーナス。取れなくても、損はない。

そして、この動機で勉強している人は、未来に怯えていない。「役に立たなかったらどうしよう」と思わない。いま楽しいから、続けている。続けているうちに、たぶん何かが身につく。身につかなくても、楽しかったから、それで十分。

これが、長く続く動機の正体だ。学びを「未来のための手段」から「いまを満たす目的」に変える。すると、勉強は義務ではなく、自分への小さなご褒美になる。

そして、ご褒美として続けていると、結果も、勝手についてくる。資格が取れる。知識が深まる。仕事に活かせる場面が出てくる。でも、それは目的じゃない。目的は、学んでいる自分が好き、ただそれだけ。


✦ ✦ ✦

何度も資格勉強で挫折してきたなら、一度、動機を問い直してみる。

「これは、未来のために我慢する時間か。それとも、いま自分を満たす時間か」

もし前者なら、続かなくて当然だ。動機を入れ替える必要がある。

その資格を取ることが、本当に「やりたい」ことか、もう一度自分に聞いてみる。もし答えが「やりたい」じゃなく「やるべき」なら、そっと手放してもいい。

その代わりに、自分が「学んでいて楽しい」と思えるテーマを、見つけてみる。資格じゃなくてもいい。読書でも、趣味の勉強でも、語学でも、何でもいい。「いま学んでいる時間が好き」と思えるものを、一つだけ見つけてみる。

それは、誰にも認められなくていい。資格にならなくていい。役に立たなくていい。ただ、自分が楽しんで学んでいる、その事実だけが大事だ。

学ぶことは、未来への投資だけじゃない。いまの自分を満たすための、ささやかな贅沢でもある。その贅沢を、自分にあげていい。

PRIELLE編集部

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