「恋愛脳」になる自分が嫌だった
好きな人ができると、世界の解像度が変わる。
仕事中も頭の片隅に彼がいる。
友達と話していても、心の半分は彼のことを考えている。
スマホの通知音が鳴るたびにドキッとする。
彼からじゃなかったときの、あの小さながっかり感。
「また恋愛脳になってる」
そう自覚するたびに、自分が嫌になる。
もっと自立していたい。
もっとクールでいたい。
恋愛に振り回されない、かっこいい女性でいたい。
なのに、好きな人ができるたびに同じことを繰り返す。
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「恋愛脳」を自分の性格や弱さだと思っている人は多い。「私は恋愛体質だから」「のめり込みやすいタイプだから」と、生まれつきの特性のように語る。
でも、恋愛脳は性格ではない。構造だ。
その構造とは、「自分の人生の中心が空いているとき、恋愛がそこに入り込む」というもの。
仕事に没頭している時期、夢中になれる趣味がある時期、自分のことを好きでいられる時期
——そういうときは、恋愛をしていても「恋愛脳」にはなりにくい。なぜなら、人生の中心がすでに埋まっているからだ。
逆に、仕事がつまらない、趣味がない、自分に自信がない ——そういうとき、人生の中心に空洞ができる。その空洞に、恋愛がすっぽりとはまる。恋愛が人生の中心を占めるから、頭の中も心の中も彼でいっぱいになる。
恋愛脳の正体は、恋愛への感受性の高さではない。自分の人生の中心が、自分で埋まっていないことだ。
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だから、恋愛脳を「直す」方法は、恋愛を遠ざけることではない。
恋愛以外の自分の世界を育てることだ。
難しいことではない。自分が「ちょっと好きだな」と思えるものを、一つだけ持っておくこと。
通勤中に聴くプレイリスト。
週末に行くカフェ。
寝る前の読書の時間。
それが「私の時間」として機能し始めると、恋愛が人生の全面を覆い尽くさなくなる。
恋愛は人生の一部であって、人生そのものではない。
そう言うと「恋愛を軽視している」と聞こえるかもしれないが、むしろ逆だ。恋愛が人生の一部として適切な位置に収まったとき、はじめて恋愛を楽しめるようになる。全体重を預けていないから、安心して寄りかかれる。
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「恋愛脳」になる自分を嫌わなくていい。
それは、あなたが誰かを本気で好きになれる証拠でもある。
ただ、次に「また恋愛脳になってるな」と気づいたら、一つだけ自分に聞いてみてほしい。
「最近、自分のためだけにしたことは何だろう」
答えがすぐに出てこないなら、今日一つだけ、自分のためだけに何かをする。彼のためでなく、彼に報告するためでもなく、ただ自分が心地よいと思えることを。
その一つが、人生の中心に「自分」を少しだけ取り戻す練習になる。