雑に扱ってくる人と距離を置けた朝
その人と会うと、いつも少しだけ疲れて帰ってくる。
悪い人ではない。
嫌いなわけでもない。
でも、会話の端々に小さな棘がある。
「まだそれ使ってるの?」
「その服、前も着てたよね」
「え、知らないの?」
一つひとつは冗談の範囲だ。笑って流せる。流してきた。
でもある朝、その人からの「今日会える?」というメッセージを見て、お腹のあたりがずんと重くなった。
その重さに正直になることにした。「今日はちょっとごめんね」と返した。
✦ ✦ ✦
距離を置くことに罪悪感がある人は多い。
「嫌いじゃないのに避けるのは失礼だ」
「大げさに考えすぎかもしれない」
「私が気にしすぎなだけだ」
——そうやって自分の感覚を否定して、会い続ける。
でも、ここで一つ確認してほしいことがある。
その人と会ったあと、自分のことが好きでいられるだろうか。
もし答えが「いいえ」なら、それは相性の問題ではなく、扱われ方の問題だ。
雑に扱ってくる人の特徴は、わかりやすい攻撃をしないことにある。暴言を吐くわけではない。明確な悪意があるわけでもない。ただ、あなたの時間を軽く扱い、あなたの選択を小さく笑い、あなたの感覚を「気にしすぎ」で片づける。
その一つひとつは小さい。でも積み重なると、あなたの中の「自分は大切にされるべき存在だ」という感覚が、少しずつ削られていく。
✦ ✦ ✦
自分を丁寧に扱い始めると、面白いことが起きる。
雑な扱いに気づけるようになる。
以前は流していた冗談が、引っかかるようになる。
以前は気にしていなかった態度が、違和感として残るようになる。
これは過敏になったのではない。
自分の基準が上がったのだ。
自分を大切に扱う人は、雑に扱ってくる相手に対して、静かに距離をとれるようになる。
怒る必要はない。
喧嘩する必要もない。
ただ、会う頻度を減らす。
誘いに全部は応じない。返信のタイミングを自分で決める。
それは冷たさではない。自分の輪郭を守ることだ。
✦ ✦ ✦
距離を置くことに、まだ罪悪感があるかもしれない。
でも一つだけ覚えておいてほしい。
あなたの時間には限りがある。その限りある時間を誰と過ごすかは、あなたが決めていい。
「この人と会ったあと、私は自分のことが好きでいられるか」
この問いを一つ持っておくだけで、自分の時間の使い方が変わる。
会ったあとに自分が好きでいられる人と過ごす時間を、一つだけ増やしてみてほしい。
それが、自分の扱われ方を自分で選ぶということだ。
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