「私はこれでいい」が「私はこれがいい」に変わる瞬間
「私はこれでいい」
この言葉を、自分に言えるようになるまでにずいぶん時間がかかった。
何もない自分。
特別じゃない自分。
突出した何かがない自分。
それを「ダメだ」ではなく「これでいい」と思えるようになった。
それだけで、ずいぶん楽になった。
でもある日、ふと気づいた。
「これでいい」と「これがいい」は、似ているようで全然違う。
✦ ✦ ✦
「これでいい」は、受容だ。
今の自分を否定しない。欠けている部分を責めない。「足りない」と思い続ける苦しさから降りる。それは大切な一歩であり、PRIELLEがずっと伝えてきたことでもある。
でも「これでいい」の中には、微かな諦めが含まれていることがある。
「まあ、これでいいか」。
妥協ではないけれど、積極的に選んだわけでもない。
自分に×をつけるのはやめた。
でも、○をつけたわけでもない。△の場所に立っている。
「これがいい」は、その△を○に変える瞬間だ。
✦ ✦ ✦
「これがいい」は、選択だ。
他の選択肢がある中で、「これ」を選んだという意志がある。誰かに勧められたからではなく、消去法で残ったからでもなく、自分が「これがいい」と思ったから選んだ。
自分に対して「これがいい」と言えるとき、何が起きているかというと——
自分の中の好きな部分だけでなく、嫌いな部分、不完全な部分、変えたい部分、全部を含めた上で、「それでも、この自分がいい」と選び取っている。
これは自己受容の一歩先だ。受容が「否定しない」だとしたら、「これがいい」は「肯定する」に近い。
✦ ✦ ✦
「これでいい」から「これがいい」への変化は、ある日突然やってくるものではない。
日常の小さな場面で、少しずつ育っていく。
カフェで「これでいいです」と注文していたのが、「これがいいです」に変わる。
服を「これでいいか」と選んでいたのが、「これが着たい」に変わる。
週末の過ごし方を「何でもいいよ」と委ねていたのが、「こうしたい」に変わる。
どれも小さな変化だ。でもその一つひとつの中に、自分を選び取る意志がある。
✦ ✦ ✦
今すぐ「これがいい」と言えなくてもいい。
「これでいい」にたどり着いただけで、あなたはもう十分に遠くまで来ている。
ただ、今日一つだけ意識してみてほしい。
何かを選ぶとき、「これでいいか」と思ったら、もう一つ自分に聞いてみる。「本当は、どれがいい?」
答えがすぐに出なくてもいい。その問いを自分に向けたこと自体が、「これがいい」への最初の一歩だ。
「これでいい」の先には、「これがいい」がある。そしてその先には、きっと「これが好きだ」がある。
急がなくていい。でも、止まらなくていい。
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