寝る前に「今日の自分、よくやったね」と思うだけでいい
布団に入ると、反省会が始まる。
今日の会議で言えなかったこと。
返信が遅れたこと。
笑えなかった場面。
言いすぎたかもしれない一言。
——一日の失敗を一つずつ掘り起こして、暗い気持ちのまま目を閉じる。
これが毎晩のルーティンだった。
反省は大切だと思っていた。失敗を振り返らないと成長しない、と。でもある夜、ふと気づいた。反省はしているのに、「よくやった」は一度も自分に言ったことがない。
失敗は数える。でも成功は数えない。
そのバランス、おかしくないだろうか。
✦ ✦ ✦
一日を反省で終えると、脳は「今日は失敗の日だった」と記録する。
実際はそうでもなかったかもしれない。
朝ちゃんと起きた。
仕事をこなした。
帰りに買い物をした。
夕飯を食べた。
お風呂に入った。
——全部、やっている。でも反省モードの脳は、できたことをスルーして、できなかったことだけを拾い上げる。
毎晩それを繰り返すと、「私は毎日失敗している」という自己イメージが固まっていく。実際は毎日たくさんのことを「できている」のに、それを認識しないから、自己評価が上がらない。
✦ ✦ ✦
ある夜、反省の代わりに一つだけ試してみた。
布団に入って目を閉じる前に、「今日の自分、よくやったね」と心の中で呟く。
最初は違和感があった。よくやったって、何を? 別に特別なことはしていない。大きな成果もない。誰かに褒められるようなこともない。
でも、「よくやった」は特別なことに対する言葉である必要はない。
今日も一日を終えた。それだけで十分だ。
朝起きた。
仕事をした。
ごはんを食べた。
生きた。
——それを「よくやった」と言ってはいけない理由がどこにあるだろうか。
✦ ✦ ✦
「よくやったね」を寝る前に言う習慣を始めて、変わったことが一つある。
朝の目覚めが、少しだけ軽くなった。
反省で終えた日の翌朝は、なんとなく重い。昨夜の反省の残りかすが胸に残っている。でも「よくやったね」で終えた日の翌朝は、少しだけ穏やかに起きられる。
これは気のせいではないと思う。一日を肯定で閉じるか否定で閉じるかで、翌日の始まり方が変わる。
反省をやめろとは言わない。改善したいことがあるなら、それは朝に考えればいい。夜は、ただ今日の自分を認めて終わる。
✦ ✦ ✦
今夜、布団に入ったら、一つだけ試してほしい。
目を閉じる前に、「今日の自分、よくやったね」と心の中で一回だけ言う。
何がよくやったのか、具体的に思い浮かべなくていい。「よくやった」の四文字で十分だ。
その四文字が、今日という一日を肯定で閉じてくれる。
明日の朝、少しだけ軽く起きられたら、それは昨夜の自分からのプレゼントだ。
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