昨日の自分より、今日の自分がほんの少し好きだ
「自分を好きになりたい」
ずっと、そう思っていた。
自分を好きになれたら、きっと毎日が楽になる。
自信が持てる。
人の目が気にならなくなる。
恋愛もうまくいく。
——そう信じて、方法を探していた。
自己啓発の本を読んだ。
アファメーションを試した。
ノートに自分の長所を書き出そうとした。
でも、長所が三つも出てこなくて、逆に落ち込んだ。
「自分を好きになる」は、一生かかっても到達できないゴールのように思えた。
✦ ✦ ✦
でも今、振り返って気づくことがある。
「自分を好きになる」は、ゴールではなかった。
ゴールだと思っていたから苦しかった。
「まだ好きになれていない」
「まだ足りない」
「いつになったら好きになれるのか」。
ゴールを設定した瞬間に、今の自分は「ゴールに届いていない自分」になってしまう。
好きになれていない自分を否定しながら、好きになろうとしていた。矛盾している。
「自分を好きになる」は、ゴールではなく、毎日の小さな選択の積み重ねだった。
✦ ✦ ✦
朝、鏡に「おはよう」と言う。カーテンを開ける。お気に入りのリップを塗る。ベッドを整える。
夜、「よくやったね」と自分に言う。スキンケアを丁寧にする。髪を乾かして寝る。
爪を整える。姿勢を正す。ハンカチを持ち歩く。気分で服を選ぶ。好きな飲み物を決める。自分のために買い物をする。
どれも小さなこと。一つひとつでは何も変わらない。
でもこの全部が、自分に同じメッセージを送り続けている。
「あなたは、手をかける価値がある」
このメッセージを毎日受け取り続けた結果として、ある日ふと思える。「悪くないかも、私」と。
それが、自分を好きになるということの正体だったのだと思う。
✦ ✦ ✦
「自分を好きになる」は、一度で完成するものではない。
昨日好きになれても、今日は嫌いになるかもしれない。今日「悪くないかも」と思えても、明日また「何もない」に戻るかもしれない。
それでいい。
大事なのは、完成させることではなく、毎日少しずつ育てることだ。
花を育てるのと同じだ。毎日水をやる。日に当てる。様子を見る。枯れかけることもある。でも、やめずに続けていると、ある日小さな蕾がついている。
自分を好きになることも、同じだ。毎日一つ、自分を丁寧に扱う。それを繰り返す。途中で投げ出しそうになっても、また次の日に一つだけやる。
その先に、蕾が開く日が来る。
✦ ✦ ✦
完璧に自分を好きにならなくていい。
「大好き」にならなくていい。「最高の自分」にならなくていい。
ただ、昨日の自分より、今日の自分がほんの少し好きだ。
それだけで十分だ。
そしてそれは、今日の小さな一つの選択で実現できる。
明日の朝、何か一つだけ自分のためにしてみてほしい。何でもいい。この記事を読んで、何か一つ思い浮かんだことがあるなら、それでいい。
その一つが、明日の「ほんの少し好きだ」を作ってくれる。
毎日、ほんの少しずつ。それだけでいい。
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