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マインドセット STEP3

ふと「悪くないかも」と思えた瞬間の話

ふと「悪くないかも」と思えた瞬間の話

それは本当に何でもない瞬間だった。

朝、いつものように顔を洗って、化粧水をつけて、リップを塗った。お気に入りのマグカップでコーヒーを飲んだ。整えたベッドの横を通って、着替えて、鏡を見た。

そのとき、ふと思った。

「悪くないかも、私」

誰かに褒められたわけではない。何かを達成したわけでもない。外見が劇的に変わったわけでもない。ただ、朝のルーティンを一つずつ済ませた自分を鏡で見て、なんとなくそう思った。

✦ ✦ ✦

この「悪くないかも」は、どこから来たのだろう。

振り返ると、大きなきっかけは一つもなかった。

ベッドを整えるようにした。

スキンケアを丁寧にした。

好きなリップを一本決めた。

ハンカチを持ち歩くようにした。

爪を整えた。

髪を乾かして寝るようにした。

コンビニごはんを少し減らした。

SNSを見る時間を決めた。

どれも小さなこと。一つひとつでは何も変わらない。

でも、全部を足し合わせたとき、自分に対する扱い方の総量が変わっていた。以前の自分と今の自分を比べると、自分をかける手間の量が、確実に増えている。

その手間の量が、「悪くないかも」の正体だった。

✦ ✦ ✦

自己肯定感は「上げる」ものだと思っていた。

何かをすれば上がる。

何かを達成すれば上がる。

努力すれば上がる。

——そういう足し算の話だと。

でも違った。

自己肯定感は、上げるものではなく、気づいたらそこにあるものだった。

毎日の小さな習慣を積み重ねているうちに、ある朝ふと「悪くないかも」と思える。それは意図した結果ではなく、副産物だ。自分を丁寧に扱い続けた結果として、自然に芽が出た感覚。

だから、自己肯定感を「上げよう」と意気込む必要はない。意気込むと、上がらなかったときに自分を責めてしまう。それでは逆効果だ。

ただ、今日一つ、自分を丁寧にすればいい。明日も一つ。明後日も一つ。その先に、「悪くないかも」が待っている。

✦ ✦ ✦

「悪くないかも」は、「大好き」ではない。

「最高の自分だ」でもないし、「完璧だ」でもない。

でも、「悪くないかも」で十分だ。

ずっと「私なんか」と思っていた人間が、「悪くないかも」と思えるようになった。その距離は、外から見れば小さいけれど、本人にとっては途方もなく大きい。

今日、もしまだ「悪くないかも」が来ていないとしても、焦る必要はない。

明日もベッドを整えて、リップを塗って、爪を確認して、ハンカチを鞄に入れて。

その一つひとつが、いつかの朝の「悪くないかも」を、静かに育てている。

PRIELLE編集部

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