自分にだけ伝わる変化が、いちばん気持ちいい
少しずつ、自分を整え始めて、半年ほど経った。
体は、少しだけ変わった。肌の調子も、前より落ち着いている。持ち物にも、少しずつ「これがいい」が増えた。
でも、誰も気づかない。
職場の同僚は、何も言わない。久しぶりに会った友達も、特に変化を指摘しない。家族からも、「最近きれいになった」とは言われない。
少し前なら、それが寂しかった。「こんなに頑張っているのに、誰も気づかない」と。
でも、今は違う。気づかれなくても、私は知っている。朝、鏡を見たとき、確かに前より少しだけ自分にときめいている。それで、十分なのだ。
むしろ、誰にも気づかれない自分だけの変化が、いちばん気持ちいい。それは、誰の評価にも依存しない、純粋に自分のものだから。
「気づかれたい」が、満足を遠ざけている
何かを頑張っているとき、心のどこかで「誰かに気づいてほしい」と思っていないだろうか。
ダイエットを頑張っているとき、「痩せたね」と言われたい。新しい服を着たとき、「似合うね」と褒められたい。髪型を変えたとき、誰かに気づいてほしい。
それは、自然な気持ちだ。でも、その「気づいてほしい」が強すぎると、奇妙なことが起こる。
他人が気づいてくれないと、自分の頑張りに意味がなかったように感じてしまう。痩せても誰も言ってくれなかった日、新しい服を褒められなかった日、自分の中で何かがしぼむ。「やっぱり、たいして変わってないのかも」と。
これは、自分の満足を、他人に握らせている状態だ。あなたの努力の価値が、他人の口から出る言葉によって決まってしまっている。
そして、他人は基本的に、あなたが思っているほど、あなたを見ていない。みんな、自分のことで頭がいっぱいだ。あなたの小さな変化に気づける余裕は、ほとんどの人にない。
つまり、「気づかれたい」を満足の条件にしている限り、ほとんどの場合、満足には到達できない。
「自分だけが知っている」の特別さ
逆に、誰にも気づかれない変化を、自分だけが知っているとき、何が起きるだろうか。
それは、純粋な自己満足だ。他人の評価が混ざっていない、自分の中だけで完結する満足。
朝、鏡を見て「今日の自分、悪くないな」と思う。その瞬間、誰も見ていない。誰も褒めてくれない。それなのに、確かに自分は満足している。
この「誰にも分配されない、自分だけの満足」こそが、いちばん深く、いちばん長く続くものだ。なぜなら、それは他人に奪われないから。誰かが気づいてくれなくても、誰かが評価してくれなくても、その満足は減らない。自分が、自分の変化を認めている。それで終わり。
そして、こういう「自分だけの満足」をたくさん持っている人は、強い。誰からも認められない日でも、自分で自分を満たせる。一人の夜が、寂しい時間じゃなく、誇らしい時間になる。
「他人に気づかれること」を満足の条件にしていた頃の自分から、「自分だけが知っている変化」で満足できる自分へ。この移行こそが、自己満足の作法の、いちばん大切な部分だ。
✦ ✦ ✦
今日、自分が頑張っていることを、一つ思い浮かべてみる。
それを、誰かに気づいてもらえなくても、続けられるだろうか。
もし答えが「気づいてもらえないと意味がない」なら、その動機は、まだ他人に握られている。
「誰にも気づかれなくても、私はこれを続ける」と、自分に言ってみる。
そして、誰にも気づかれない自分だけの変化を、自分でちゃんと認めてあげる。
朝、鏡を見て「悪くないな」と思えた。今日の食事、自分の体に優しいものを選べた。本を一冊、最後まで読めた。一人の夜を、機嫌よく過ごせた。
どんなに小さなことでもいい。それは、誰にも分配されない、あなただけの満足だ。
そういう小さな満足を、毎日いくつ自分にあげられるか。それが、自分を満たせる人の、本当の豊かさだ。
誰にも気づかれない変化を、誇らしく思える。その感覚が育ったとき、あなたはもう、他人の評価に振り回されない自分になっている。
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