自己満足は、独りよがりじゃなかった
「自己満足」という言葉が、自分の中で完全に書き換わった。
少し前まで、それは「独りよがり」「自分のことしか考えていない」という意味だった。だから、自分のために何かをすることに、罪悪感があった。
でも、いま、私は、確信している。
自己満足できる人ほど、人に優しくなれる。
不思議に聞こえるかもしれない。「自分のためにばかり時間を使う人が、人に優しいの?」と。
でも、よく観察してみると、わかる。
自分が満たされていない人は、いつも、誰かに何かを求めている。「私のことを認めてほしい」「私のことを優先してほしい」「私のことを愛してほしい」。求めるばかりで、与えられない。
逆に、自分で自分を満たせる人は、人に何も求めない。「私はもう、自分で満たしている。あなたには何も求めない」。だから、人に対して、純粋に優しくなれる。
自分を満たしていない人は、人を満たせない
「人のために」と言いながら、いつも疲れている人がいる。
家族のため、会社のため、誰かのため。
自分を後回しにして、人に尽くしている。
でも、心のどこかで、いつも不満を抱えている。「こんなにやっているのに、誰も評価してくれない」「私ばっかり頑張っている」。
これは、なぜか。
自分のためのバケツが空っぽのまま、人にお水を注ごうとしているからだ。
人に与えるためには、自分の中に与えられるだけのものが、なくてはならない。自分が満たされていない人が、人に与えると、それは「与えること」じゃなく「奪われること」になる。だから、与えれば与えるほど、自分が枯れていく。そして、無意識に「お返し」を相手に求めてしまう。
「これだけやってあげたんだから、感謝してよ」「これだけ尽くしたんだから、認めてよ」。与えているように見えて、実は、相手に対して借金を作っている。
自分を満たしていない人の「優しさ」は、本当の優しさじゃない。条件付きの優しさだ。
逆に、自己満足できる人は、自分のバケツが満たされている。だから、人にお水を注いでも、自分は枯れない。見返りを求めずに、純粋に与えられる。
自分への充足が、人への余裕を生む
これは、恋愛にも、友情にも、家族関係にも、当てはまる。
自分を満たしていない状態で人と関わると、いつも「足りないもの」を相手から得ようとする。「私を愛してほしい」「私を必要としてほしい」「私を肯定してほしい」。
その「ほしい」が前面に出ている関係は、相手にとっても、しんどい。ずっと自分を求められ続ける関係は、息苦しい。だから、最初は愛してくれた人も、だんだん離れていく。
でも、自己満足できる人は、相手に何も求めない。「私は、自分で自分を満たせている。だから、あなたに何も求めない。あなたが私のそばにいてくれるなら、それは贈り物だ」。この余裕が、関係を健やかにする。
人は、何かを求められないとき、自由を感じる。自由を感じている人は、自然に与えたくなる。「求めない人」ほど、結果として、たくさん与えられる。
自己満足は、人間関係を、しがみつくものから、対等で穏やかなものに変える。それは、独りよがりとは、正反対の効用だ。
✦ ✦ ✦
自分を満たすことを、もう、後ろめたく思わなくていい。
「自分のために頑張る」「自分のためにお金を使う」「自分のために時間を使う」。
これらすべてに、罪悪感を持つ必要はない。
自分を満たすことは、最終的に、人を幸せにする力を育てている。
自分のバケツを、毎日、丁寧に満たしていく。シートマスクで肌を満たし、好きな食事で体を満たし、お気に入りのものに囲まれて空間を満たす。本や習い事で頭を満たし、自分への優しい言葉で心を満たす。
そうやって満たされたあなたは、自然と、人にも余裕を持って接するようになる。求めなくなる。比べなくなる。「これあげたから、何かちょうだい」と思わなくなる。
そして気づくはずだ。自分を満たしている人のほうが、結果として、人にも愛されるということに。
自己満足できる人は、自立している人だ。自立している人は、依存的じゃない。依存的じゃない人と一緒にいると、人は楽だ。だから、自然と、いい関係が育っていく。
自己満足は、独りよがりじゃない。自分を満たして、人にも余裕を持てる、いちばん健やかな状態の名前だ。
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